通勤時間や家事の合間に、お気に入りの本を「聴く」という新しい読書スタイルが定着してきました。その中心にあるのがAmazonのオーディオブックサービス「Audible(オーディブル)」です。でも、「電波の届かない場所でも聴けるの?」「スマホの容量を圧迫しない?」という疑問をお持ちの方も多いのではないでしょうか。
この記事では、Audibleをオフラインで楽しむ方法と、スマホの容量を効率よく使うコツをご紹介します。通信環境に左右されず、いつでもどこでも好きな本を聴けるようになりますよ。
Audibleはオフラインで聴ける?基本のしくみ
結論から言うと、Audibleはオフラインでも問題なく聴くことができます。事前に作品をダウンロードしておけば、インターネット接続がない環境でも楽しめるのです。
オフライン再生の仕組み
Audibleのオフライン再生は、とてもシンプルな仕組みで成り立っています。アプリに作品をダウンロードしておくことで、スマートフォンやタブレットの内部ストレージに保存。そのため、電波の届かない場所や機内モードでも、保存した作品を自由に聴くことができます。
特に通勤電車の地下区間や山間部など、電波状況が不安定な場所でも途切れることなく楽しめるのは大きな魅力です。また、海外旅行中のデータローミング料金を気にせず使えるのも嬉しいポイントです。
ストリーミング再生とダウンロード再生の違い
Audibleでは、ストリーミング再生とダウンロード再生という2つの聴き方があります。それぞれの特徴を理解しておくと便利です。
再生方法 | メリット | デメリット | 通信量 | 容量消費 |
---|---|---|---|---|
ストリーミング再生 | すぐに聴き始められる | 通信環境が必要 | 大きい | ほぼなし |
ダウンロード再生 | オフラインで聴ける | 事前準備が必要 | ダウンロード時のみ | 大きい |
ストリーミング再生は、その場ですぐに聴き始められる手軽さがありますが、常にインターネット接続が必要です。一方、ダウンロード再生は事前に時間がかかるものの、一度ダウンロードしてしまえば通信環境を気にせず楽しめます。
オフライン再生の3つのメリット
オフライン再生には、以下のような明確なメリットがあります。
まず第一に、通信環境に左右されない安定した再生品質が得られます。電波状況が悪い場所でも、音質の劣化や再生の途切れを心配する必要がありません。
次に、モバイルデータ通信量の節約になります。特に通信量の制限がある方にとって、大容量のオーディオブックをストリーミングで聴くのは負担が大きいものです。
そして三つ目は、バッテリー消費の軽減です。ストリーミング再生に比べて、オフライン再生の方がバッテリーの持ちが良くなる傾向があります。長時間の移動や外出時には特に重要なポイントです。
Audibleをオフラインで使うための準備
オフラインでAudibleを楽しむには、少しだけ準備が必要です。でも心配いりません。とても簡単な手順で設定できますよ。
事前にダウンロードする方法
オフラインで聴くための第一歩は、もちろん作品のダウンロードです。基本的な手順は次のとおりです。
まず、Audibleアプリを開き、ライブラリにアクセスします。ライブラリには購入した作品がすべて表示されています。ダウンロードしたい作品を見つけたら、その作品のカバー画像の下にあるダウンロードボタン(下向きの矢印アイコン)をタップします。
ダウンロードが始まると、進行状況を示すインジケーターが表示されます。ダウンロード完了までの時間は、作品の長さと通信環境によって変わりますが、一般的な長さの本なら数分程度で完了するでしょう。
なお、ダウンロードはWi-Fi接続時のみに制限することも可能です。モバイルデータ通信量を気にする方は、アプリの設定からこのオプションを有効にしておくと安心です。
ライブラリから作品を選んでダウンロードする手順
より具体的なダウンロード手順をご紹介します。
- Audibleアプリを起動します
- 画面下部の「ライブラリ」タブをタップします
- ダウンロードしたい作品を探します
- 作品のカバー画像下にあるダウンロードアイコンをタップします
- ダウンロードが始まり、進行状況が表示されます
- 完了すると、ダウンロードアイコンがチェックマークに変わります
複数の作品を一度にダウンロードしたい場合は、ライブラリ画面右上の「編集」をタップし、ダウンロードしたい作品を選択した後、「ダウンロード」ボタンをタップすることで一括処理も可能です。
ダウンロード完了後の確認方法
ダウンロードが正しく完了したかを確認するには、いくつかの方法があります。
最も簡単なのは、ライブラリ画面でフィルター機能を使う方法です。画面上部にある「フィルター」をタップし、「ダウンロード済み」を選択すると、デバイスにダウンロードされている作品だけが表示されます。
また、各作品のカバー画像の下に表示されるアイコンでも確認できます。ダウンロード済みの作品にはチェックマークが表示されます。
念のため、一度機内モードにして再生テストをしておくと、外出先で困ることがなくて安心です。スマートフォンの設定から機内モードをオンにし、Audibleアプリを開いて作品が再生できるか確認してみましょう。
Audibleの通信量はどれくらい?
Audibleを利用する際の通信量について知っておくと、データ通信プランの選択や使い方の計画に役立ちます。
ストリーミング再生時の通信量
Audibleをストリーミングで聴く場合、どれくらいの通信量が発生するのでしょうか。具体的な数値を見てみましょう。
Audibleのストリーミング再生では、標準音質設定で約30MB/時間の通信量が発生します。高音質設定にすると、約60MB/時間程度に増加します。
例えば、10時間の長さのオーディオブックを標準音質でストリーミング再生すると、合計で約300MBの通信量が必要になります。これは、一般的な月間データ通信プラン(3GB〜20GB)からすると、それほど大きな負担ではないかもしれません。
しかし、毎日の通勤時間などで頻繁に利用する場合や、複数の作品を聴く場合は、通信量がかさんでいくことを念頭に置いておく必要があります。
作品の長さ別に見る必要な通信量
作品の長さによって必要な通信量と保存容量は大きく変わります。一般的な目安として、以下の表を参考にしてください。
作品の長さ | ストリーミング通信量(標準音質) | ダウンロード容量(標準音質) | ダウンロード容量(高音質) |
---|---|---|---|
5時間 | 約150MB | 約150MB | 約300MB |
10時間 | 約300MB | 約300MB | 約600MB |
15時間 | 約450MB | 約450MB | 約900MB |
20時間 | 約600MB | 約600MB | 約1.2GB |
小説や自己啓発書など、一般的な作品の多くは7〜12時間程度の長さです。一方、ハリー・ポッターシリーズのような長編作品になると、1冊あたり20時間を超えることもあります。
月間データ通信量との関係
月間のデータ通信量制限との関係を考えてみましょう。
一般的なスマートフォンの月間データ通信プランは3GB〜20GBの範囲が多いです。3GBのプランを例にすると、標準音質でのストリーミング再生なら約100時間分、つまり中編小説なら8〜10冊程度を聴くことができる計算になります。
しかし、YouTubeやSNSなど他のアプリの利用も考慮すると、Audibleだけに通信量を使うわけにはいきません。そのため、特に通信量に制限のあるプランを利用している方は、Wi-Fi環境下でのダウンロードを活用するのが賢明です。
オフライン再生で容量を節約するコツ
スマートフォンの容量は意外と早く埋まってしまうもの。Audibleを使いながらも容量を節約するコツをご紹介します。
音質設定の変更方法
Audibleでは、音質設定を変更することで、ダウンロードサイズを大幅に削減できます。設定方法は次のとおりです。
- Audibleアプリを開きます
- 画面下部の「プロフィール」タブをタップします
- 歯車アイコン(設定)をタップします
- 「ダウンロード設定」を選択します
- 「音質」の項目で「標準」を選択します
高音質から標準音質に変更するだけで、必要な容量をほぼ半分に抑えることができます。オーディオブックは音楽と違って微妙な音の違いが重要ではないため、標準音質でも十分に楽しめることがほとんどです。
特に語学学習や自己啓発など、内容の理解が重要な作品では、音質よりも容量節約を優先しても問題ないでしょう。
Wi-Fi接続時のみダウンロードする設定
モバイルデータ通信を使ったダウンロードを防ぐために、Wi-Fi接続時のみダウンロードする設定も便利です。
- Audibleアプリを開きます
- 「プロフィール」タブから設定画面へ進みます
- 「ダウンロード設定」を選択します
- 「Wi-Fi接続時のみダウンロード」をオンにします
この設定をオンにしておくと、誤ってモバイルデータ通信でダウンロードしてしまい、通信量を大量に消費するリスクを防げます。特に、通信制限のあるプランを利用している方には必須の設定と言えるでしょう。
聴き終わった作品の自動削除機能
Audibleには、聴き終わった作品を自動的に削除する便利な機能があります。これを活用すれば、ストレージ容量を常に最適な状態に保つことができます。
設定方法は以下のとおりです。
- Audibleアプリの設定画面を開きます
- 「ダウンロード設定」を選択します
- 「聴き終わった作品を自動削除」をオンにします
この機能をオンにすると、作品を最後まで聴き終わった後、自動的にデバイスから削除されます。もちろん、ライブラリには残っているので、また聴きたくなったときにはいつでもダウンロードし直すことができます。
定期的に新しい作品を聴く方や、ストレージ容量が限られているデバイスを使用している方には特におすすめの機能です。
デバイス別のストレージ容量と対処法
デバイスによって最適な使い方は異なります。それぞれの特性を活かした容量管理の方法を見ていきましょう。
スマートフォンの容量を効率的に使う方法
スマートフォンは最も手軽にAudibleを楽しめるデバイスですが、容量が限られていることも多いです。効率的に使うためのポイントをいくつかご紹介します。
まず、現在聴いている作品だけをダウンロードするようにしましょう。「次に聴くかもしれない」と思って複数の作品をダウンロードしがちですが、実際に聴く予定のない作品は削除しておくのが賢明です。
また、写真や動画、使っていないアプリなど、他のコンテンツも定期的に整理することで、Audibleのために十分な空き容量を確保できます。クラウドストレージサービスを活用して、写真や動画をオンラインに保存するのも一つの方法です。
さらに、iPhoneユーザーであれば「iPhoneを最適化」機能を活用することで、使用頻度の低いアプリを自動的に削除しながらもデータは保持するという便利な機能も利用できます。
タブレットでの活用法
タブレットは、スマートフォンよりも大容量のストレージを搭載していることが多く、Audibleの作品を多数保存するのに適しています。
特に、家の中での利用が中心であれば、Wi-Fi環境下でタブレットに作品をダウンロードしておき、スマートフォンはストリーミング再生メインで使うという使い分けも効果的です。
また、タブレットの中には外部ストレージ(microSDカードなど)に対応しているモデルもあります。そうしたデバイスであれば、安価な大容量SDカードを追加することで、内部ストレージを圧迫せずに多くの作品を保存できます。
アップルウォッチを使った容量節約術
Apple Watchユーザーにとって朗報なのが、Audibleの作品をウォッチにダウンロードできる機能です。Apple Watchの容量は限られていますが、1〜2冊程度なら十分に保存できます。
Apple Watchに作品をダウンロードする方法は以下のとおりです。
- iPhoneのAudibleアプリで、ダウンロードしたい作品を選択します
- 「デバイスに送信」オプションをタップします
- 「Apple Watch」を選択します
- ダウンロードが完了するまで待ちます
この方法を活用すれば、ランニングやウォーキングなどの運動中にもスマートフォンを持ち歩かずにAudibleを楽しめます。スマートフォンの容量も節約できる一石二鳥の方法です。
オフライン再生時の注意点
便利なオフライン再生ですが、いくつか注意しておきたいポイントもあります。
ダウンロードした作品の保存期間
Audibleでダウンロードした作品には、実は保存期間の制限があります。基本的には、Audibleの会員資格を維持している限り、ダウンロードした作品をいつまでも聴くことができます。
しかし、会員資格を解約すると、購入した作品はライブラリには残りますが、新たにダウンロードすることはできなくなります。そのため、会員資格の解約を検討している場合は、聴きたい作品を事前にダウンロードしておくことをおすすめします。
また、長期間(約1年)デバイスをAudibleアカウントに接続しないと、DRM(デジタル著作権管理)の関係でダウンロード済みの作品が再生できなくなることがあります。定期的にアプリを起動してアカウント認証を更新しておくと安心です。
機内モードでの使用方法
飛行機内や通信制限がかかった状況でも、Audibleを問題なく使用するためのポイントをご紹介します。
まず、機内モードに設定する前に、必ず聴きたい作品のダウンロードが完了していることを確認しましょう。ダウンロード中に機内モードにすると、ダウンロードが中断されてしまいます。
また、長時間のフライト前には、バッテリー残量にも注意が必要です。オーディオ再生はそれほど電力を消費しませんが、長時間のフライトでは心配な場合はモバイルバッテリーを用意しておくと安心です。
さらに、機内モード中でもBluetoothは別途オンにできるので、ワイヤレスイヤホンやヘッドフォンを使用することも可能です。快適な聴取環境を整えておきましょう。
図解が多い作品の取り扱い
Audibleには、ビジネス書や学習書など、図解や表が多く含まれる作品もあります。こうした視覚的な要素は、オーディオブックではどのように扱われているのでしょうか。
基本的に、図解や表が重要な作品では、ナレーターが口頭で説明を補足するように録音されています。しかし、複雑な図表の場合、音声だけでは理解しづらいこともあります。
そのような場合、Audibleでは「PDFブックレット」という形で補足資料が提供されることがあります。これは、アプリ内の作品詳細ページからダウンロードできます。
ただし、このPDFブックレットはオフラインでも見られるようにするには、別途ダウンロードしておく必要があります。図解が重要な作品を購入した際は、音声だけでなくPDFブックレットも確認し、必要に応じてダウンロードしておくことをおすすめします。
まとめ
Audibleはオフラインでも十分に楽しめるサービスです。事前に作品をダウンロードしておけば、通信環境を気にせずどこでも聴くことができます。容量を節約するには、標準音質の設定や聴き終わった作品の自動削除機能が効果的です。デバイスの特性を活かした使い分けも重要なポイントです。これらのコツを活用して、快適なオーディオブックライフを楽しんでください。