日常から少し離れて、新しい景色や空気に触れたくなることはありませんか? 旅行に行きたいけれど、なかなか時間が取れない。そんなときは旅のエッセイを読むのがおすすめです。著者の視点を通して、行ったことのない場所の風景や空気感を味わうことができます。今回は、読むだけで旅に出たくなる魅力的なエッセイ5冊をご紹介します。家にいながらにして旅気分を味わえるだけでなく、次の旅行計画を立てるきっかけにもなるはずです。
旅エッセイの魅力とは?家にいながら旅気分を味わう方法
旅エッセイの魅力は、著者の視点を通して様々な場所の雰囲気や文化を感じられることです。観光ガイドとは違い、その土地での体験や出会い、感じたことが生き生きと描かれています。写真や映像では伝わらない、その場所の空気感や人々の温かさ、時には困難な状況も含めた旅の真髄を知ることができるのです。
旅エッセイが人気の理由
旅エッセイが多くの人に愛される理由は、単なる観光情報以上のものを提供してくれるからでしょう。著者の個性や感性を通して描かれる旅の記録は、同じ場所でも全く違った印象を与えてくれます。また、自分では思いつかないような旅のスタイルや視点に出会えることも魅力です。
例えば、沢木耕太郎さんのエッセイでは「昔と今が旅先で交差する感じ」が特徴的です。自分が訪れたことのある場所について読むと、著者の経験と自分の経験が重なり、より深く場所を理解できるようになります。
旅行前の下調べや旅行後の余韻を楽しむ読書法
旅エッセイは旅行の前後にも役立ちます。旅行前に読めば、ガイドブックには載っていないような地元の人しか知らない場所や、著者ならではの視点で選ばれた訪問先を知ることができます。これから訪れる場所への期待感が高まるでしょう。
旅行後に読むのもおすすめです。自分が訪れた場所について書かれたエッセイを読むと、「あの場所はこんな風に見えるのか」と新たな発見があったり、「私も同じことを感じた」と共感できたりします。旅の余韻をより長く楽しむことができるのです。
国内旅を楽しむエッセイ3選
日本国内を旅するエッセイは、私たちが住んでいる国の新たな魅力を発見させてくれます。身近な場所でも、著者の視点を通して見ると、思いがけない発見や感動があるものです。ここでは特におすすめの3冊をご紹介します。
『47都道府県 女ひとりで行ってみよう』益田ミリ
「日本には47都道府県もあるのに、行ったことがない場所があるというのはもったいないなぁ。というわけで、全部行ってみることにした」という素敵な動機から始まった益田ミリさんの旅エッセイです。33歳の終わりから37歳まで、約4年間かけて日本全国を巡る様子が描かれています。
益田さんの旅の特徴は、王道の観光スポットよりも「こんなのあったんだ!」という意外な場所を訪れることが多いこと。また、名物料理を無理して食べるでもなく、観光スポットを制覇するでもなく、その時の自分にちょうどよいペースで「ただ行ってみるだけ」の旅を楽しんでいます。
クスっと笑顔になるようなゆるい4コマ漫画も付いていて、読みやすさも抜群です。最初はひとり旅が苦手だったという著者が、日本中を旅する中でひとり旅の楽しさを見出していく過程も魅力的。「ひとり旅、今度行ってみようかな?」と思わせてくれるエッセイです。
『そこらじゅうにて:日本どこでも紀行』
国内旅行が好きな方におすすめのエッセイです。日本各地の素晴らしい風景や文化が描かれており、変わった旅先を探している方には特に参考になります。著者は道中の出来事を軽妙な筆致で描いており、旅の面白さをより一層感じられる内容になっています。
地方の小さな町や村、あまり知られていない観光スポットなど、「そこらじゅう」を訪れる著者の視点は新鮮で、読んでいると「次はここに行ってみたい」という気持ちが自然と湧いてきます。地元の人との交流や、その土地ならではの食べ物、景色などが生き生きと描かれており、日本の多様な魅力を再発見できる一冊です。
『ちょっとそこまでひとり旅だれかと旅』山脇りこ
「一人で行く旅も楽しいけれど、誰かと行く旅も楽しい」という視点から書かれたエッセイです。著者の山脇りこさんは、ひとり旅と誰かと一緒に行く旅、両方の魅力を伝えています。
特に印象的なのは、旅先で美味しいものを食べた時の喜びを誰かと共有できる瞬間の描写。一人だと味わえない旅の楽しさがあることを教えてくれます。反対に、ひとりだからこそ気ままに過ごせる時間の贅沢さも描かれています。
東京の深大寺など、身近な場所への小旅行も含まれており、「旅」は必ずしも遠くに行かなくても楽しめることを教えてくれる一冊です。日常から少し離れた場所で新しい発見をする喜びが伝わってきます。
海外の風景が目に浮かぶエッセイ2選
海外旅行のエッセイは、言葉や文化の違いを超えて、著者がどのように異国の地で過ごし、何を感じたのかを知ることができます。ここでは特におすすめの2冊をご紹介します。
『人生はどこでもドア』稲垣えみ子
53歳で朝日新聞社を早期退職した著者が、フランスのリヨンへ14日間の旅に出た記録です。この旅で稲垣さんが決めていたのは、「東京にいるときと変わらぬ生活をすること」。観光名所を巡るのではなく、現地の人々と同じように過ごすことで、その土地の空気を感じようとしています。
フランス語はほとんどできず、英語も片言という状態での挑戦は、何をするにも一大チャレンジです。それでも著者は等身大の生活とアフロヘアーという武器だけで、フランス人とコミュニケーションを取り、自分の居場所を作っていきます。
「私は私であればいいのである。そのことだけで、世界とつながっていけるのだ」という言葉に表れているように、この本は単なる旅行記ではなく、自分らしく生きることの大切さを教えてくれる一冊です。生活を大切にすること、日々を楽しむこと、自分がどんな人間で何を求めているか知ること、人とのつながりを地道に丁寧に作っていくことなど、生きる上で大事なことが詰まっています。
『カフェで綴る、旅の記憶』小寺皙
時間にゆとりができ、妻とともにツアーで海外旅行に出かけるようになった小寺皙さんのエッセイです。世界遺産や名所をたくさん訪れたはずなのに、著者の心に残るのは街で出合った何気ない一コマばかり。タイ、イギリス、チュニジア、トルコなど、様々な国での体験が綴られています。
ガイドブックには載っていない街の素顔に出合える旅の記録は、旅慣れた人にも、これから旅に出たいと思っている人にも新鮮な視点を提供してくれます。特に印象的なのは、著者が各地のカフェで過ごす時間の描写。その土地の人々の日常や文化を垣間見ることができます。
「老後はこんなふうに旅に出たい」と思わせてくれるエッセイで、旅の楽しみ方を教えてくれる一冊です。小さな発見や出会いを大切にする著者の姿勢は、旅だけでなく日常生活にも活かせるヒントになるでしょう。
旅エッセイの選び方
旅エッセイは数多く出版されていますが、自分に合った一冊を見つけるコツがあります。ここでは、旅エッセイを選ぶ際のポイントをご紹介します。
旅のスタイルで選ぶ
旅のスタイルは人それぞれです。ひとり旅が好きな人、誰かと一緒に旅をするのが好きな人、計画を立てて旅をする人、思いつきで出かける人など、様々なスタイルがあります。自分の旅のスタイルに近い著者のエッセイを選ぶと、共感しやすく、参考にもなります。
例えば、益田ミリさんの『47都道府県 女ひとりで行ってみよう』はひとり旅の魅力を知りたい方に、小寺皙さんの『カフェで綴る、旅の記憶』は夫婦や友人との旅を楽しみたい方におすすめです。
旅のスタイル | おすすめの本 |
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ひとり旅 | 『47都道府県 女ひとりで行ってみよう』益田ミリ |
夫婦・友人との旅 | 『カフェで綴る、旅の記憶』小寺皙 |
日常を旅する | 『人生はどこでもドア』稲垣えみ子 |
行きたい場所で選ぶ
行きたい場所や興味のある地域について書かれたエッセイを選ぶのも良い方法です。その土地の雰囲気や文化、食べ物などについて知ることができ、旅行の計画を立てる際にも参考になります。
例えば、日本国内の様々な場所に興味がある方には益田ミリさんの『47都道府県 女ひとりで行ってみよう』が、フランスに興味がある方には稲垣えみ子さんの『人生はどこでもドア』がおすすめです。
行きたい場所 | おすすめの本 |
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日本全国 | 『47都道府県 女ひとりで行ってみよう』益田ミリ |
フランス | 『人生はどこでもドア』稲垣えみ子 |
世界各国 | 『カフェで綴る、旅の記憶』小寺皙 |
著者の視点で選ぶ
旅エッセイは著者の視点や感性によって大きく印象が変わります。同じ場所を訪れても、何に注目するか、何を感じるかは人それぞれです。自分が共感できる視点や感性を持つ著者のエッセイを選ぶと、より深く楽しむことができます。
例えば、日常の小さな発見を大切にする視点が好きな方には益田ミリさんや稲垣えみ子さんのエッセイが、異文化との出会いを楽しむ視点が好きな方には小寺皙さんのエッセイがおすすめです。
著者の視点 | おすすめの本 |
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日常の小さな発見 | 『47都道府県 女ひとりで行ってみよう』益田ミリ |
自分らしく生きる | 『人生はどこでもドア』稲垣えみ子 |
異文化との出会い | 『カフェで綴る、旅の記憶』小寺皙 |
旅エッセイを読むのにおすすめのシチュエーション
旅エッセイはいつ読んでも楽しめますが、特におすすめのシチュエーションをご紹介します。
旅行前の予習として
旅行の計画を立てる際に、その場所について書かれたエッセイを読むのはとても有意義です。ガイドブックには載っていないような地元の人しか知らない場所や、著者ならではの視点で選ばれた訪問先を知ることができます。
例えば、日本国内を旅行する前には益田ミリさんの『47都道府県 女ひとりで行ってみよう』を読んで、その土地の雰囲気や魅力を事前に感じておくと、より深い旅になるでしょう。
また、旅行の予定がなくても、エッセイを読むことで「ここに行ってみたい」という気持ちが湧いてくることもあります。旅行のきっかけづくりとしても、旅エッセイは役立ちます。
旅行後の思い出を深めるために
旅行から帰ってきた後に、訪れた場所について書かれたエッセイを読むのもおすすめです。自分が感じたことと著者が感じたことを比較したり、自分が気づかなかった場所の魅力を発見したりすることができます。
例えば、フランスを旅行した後に稲垣えみ子さんの『人生はどこでもドア』を読むと、「私もこんなことを感じた」と共感したり、「次はこんな風に旅してみたい」と新たな発見があったりするでしょう。
旅の思い出を振り返りながらエッセイを読むことで、その旅の体験がより豊かになります。
日常から少し離れたいとき
忙しい日常の中で、少しだけ違う世界に触れたいと思うことはありませんか? そんなときこそ、旅エッセイを読むのに最適です。著者の視点を通して異国の地や知らない土地の雰囲気を味わうことで、心の旅ができます。
特に、なかなか休みが取れなかったり、遠出が難しかったりするときには、エッセイを通じて旅気分を味わうことができます。稲垣えみ子さんの『人生はどこでもドア』や小寺皙さんの『カフェで綴る、旅の記憶』は、日常から離れた世界へと読者を連れて行ってくれる一冊です。
また、次の旅行を計画するまでの「旅の空白期間」にも、旅エッセイは心の栄養になります。旅への憧れや期待を持ち続けるために、エッセイを読んで旅の気分を味わってみてはいかがでしょうか。
まとめ:旅エッセイで心の旅に出よう
旅エッセイは、実際に旅に出なくても著者の視点を通して様々な場所の雰囲気や文化を感じられる素晴らしいジャンルです。今回ご紹介した5冊は、それぞれ異なる視点や旅のスタイルで書かれており、読む人に新たな発見や感動を与えてくれます。日常から少し離れて、心の旅に出てみませんか? きっと、次の旅行への意欲が湧いてくるはずです。